創立費と開業費
法人の設立期間中の損益は、設立後、最初の事業年度の所得に含めて申告します。
例外として、設立が個人事業を引き継いで行う「法人成り」の場合は、法人が設立されるまでの間の損益は、すべて個人事業に帰属します。
株式会社は、登記によって成立するため、「設立日」とは、設立登記の日を指し、具体的には、法務局への登記申請日となります。
(例)設立準備開始(1月1日)⇒ 設立日(4月1日)⇒ 営業開始(6月1日)とした場合、法人税法上の費用処理等は次のとおり。
原則として、法人設立後の事業年度の損金として処理します。
ただし、創立費、開業費に該当するものについては、繰延資産に計上し、任意償却することが可能です。
【創立費】(1月1日~4月1日)
⑴範囲(法人税法)
発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税、その他、法人のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの。
例えば、定款に定められていない費用であっても、設立のために通常必要と認められる費用であれば該当します。
・定款、諸規則作成費用
・株式募集その他のための広告費
・目論見書、株券等の印刷費
・創立事務所の賃借料
・創立事務に使用する使用人の給与等
・金融機関・証券会社の取扱手数料
など
⑵処理方法(法人税法)
設立後、最初の事業年度の費用として処理するか、繰延資産として任意償却します。
ただし、交際費に該当するものがあれば、損金不算入額の計算に含めます。
【開業費】(4月1日~6月1日)
⑴範囲(法人税法)
法人の設立後、営業を開始するまでの間に、開業準備のため特別に支出する費用に限られています。
・広告宣伝費
・旅費
・市場調査費
など
経常的に発生する費用は、発生した日の属する事業年度の損金とします。
・土地、建物等の賃借料
・事務用消耗品費
・支払利子
・使用人の給料
・電気、ガス、水道料
など
⑵処理方法(法人税法)
発生した事業年度の費用として処理するか、繰延資産として任意償却します。
ただし、交際費に該当するものがあれば、損金不算入額の計算に含めます。
【仕訳例】
法人税法上の繰延資産とする場合
支払時 創立費(B/S) 100,000 / 現金 100,000
償却時 創立費償却(P/L) 20,000 / 創立費 20,000
※ 100,000 ✕ 12/60 = 20,000
※任意償却であるため、どの時点でいくら償却してもよい。
※開業費も同様。