米国親会社の社員が来日して、約3か月間日本の子会社で勤務する際、その社員が受け取る給与等の扱いはどうなるでしょうか。
その社員に対する給与等は、米国親会社が米国内で支払っていますが、日本滞在中は日本の子会社からも3か月間、手当が支給されます。
米国親会社が支払う給与については、日米租税条約第14条第2項に該当し、短期滞在者免税が適用されます。
日本子会社が支払う給与については、内国法人からの支払いであることから、短期滞在者免税の適用はありません。
従いまして、日本子会社は、給与等を支払う際に、支払金額の20.42%の所得税等を源泉徴収する必要があります。
<短期滞在者免税の要件>
次の4つすべてに該当することが必要です。
①その者が、日本との租税条約締結国(今回は米国)の居住者であること。
②滞在期間が課税年度または継続する12か月を通じて合計183日を超えないこと。
③給与等の支払者が、居住者(日本)でない雇用者(今回は米国)であることまたはその者に代わる者であること。
④給与等が、役務提供地(日本)にある支店その他の恒久的施設によって負担されていないこと
租税条約は、相手国によって締結の有無、内容が異なりますので、個別に確認する必要があります。
また、租税条約が締結されていても、その適用を受けるためには、「租税条約届出書」などの届け出手続きを行う必要があります。
租税条約締結国以外からの来日社員であった場合や締結国からであっても租税条約の届け出手続きを取っていない場合、日本滞在中に親会社から受け取る給与等については、所得税の確定申告書を提出し、収入金額の20.42%を納付することになります。